Triangle Love Game
──STAGE 1──
「今日からこの家で暮らすことになった───橘義明くんだ。」
リビングには、父親と見知らぬ青年の姿があった。
父親の上司の息子だというその青年は、鳶色の髪と、瞳を持つ、俳優のような男だ。高耶より一回りほど年上だろうか。物腰柔らかで穏やかに笑う、紳士というのはこういう人種を言うのだろうか、と高耶は思った。
橘氏は、海外の出張先に向かう途中、飛行機の墜落事故に巻き込まれて亡くなったそうだ。夫人も一緒だったらしく、橘は独りとなった。
料理や家事は一切できない橘は、不摂生な毎日を送り、それが原因で体調不良になり、仕事先で倒れ入院したという。橘氏の穴を埋めるべく、異常とも言える仕事量をこなして疲労が溜まっていたのだろう。睡眠時間は無いに等しく、加えて、食事は外食ばかり。倒れない方がおかしい。
そんな状態だった橘を見兼ねて、家で引き取ることになった、高耶の父はそう言った。
「初めまして。あなたが高耶さんですね。」
自然に差し出される手。握手などすることがない高耶は戸惑っている。躊躇いがちに、その手を取る。
節くれだった、男の大きな手。長い指。自分の手を包み込むように広い手のひら。幼い頃に繋いだ父親のものとは違った、『男』の手に、心臓が早鐘を打ちはじめる。高耶は内心、気が気でなかった。
(今日から、この人と一緒に暮らすのか…)
そう思うと、心がざわつく。自分にあるまじき感情が、溢れてくるのを感じる。
信じたくない思いが、抑えきれない願望が。
期待と不安に、心を揺さぶられながら、高耶は二人がいるリビングを後にした。
あとがき
前からやってみたかった、三角関係ネタ。しかも、〇〇〇〇設定で。
別に伏字にしなくても、バレバレだと思いますが。
直高小説で、××××設定。(×の方がやらしい感じ♪)
にしても、直高だけに、『橘』と打つと何となく違和感が…。
やっぱり、『直江』は『直江』じゃないと。
パラレルを書こうとすると、どうやって高耶さんに『直江』と呼ばせるかが課題になりますね。
今回とても短くなりましたが、短い分、回数(やばい意味ではない)を多くしたいと。
2004.5.17 鷹夜那岐
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