─  壊疽 えそ


蝕まれていくこの カラダ
蝕まれているこの精神ココロ

この世で一番愛しい人で、
この世で一番憎い人。
壊したいほど愛しくて、殺したいほど憎い人。

気が狂いそうなほどに…。

いや、もう狂っているのかもしれない。
蝕まれた部分は、根こそぎ切り離さなければ、
この思いはどんどん広がっていく。
そして……。

もう、400年も前から、私は貴方に焦がれてきた。
貴方の犬として、私は如何なる時を供に生きてきた。
そして、今も…。


貴方は私を見ようとはしない。
受け入れようとはしてくれない。

どれくらい経てば、貴方は私を受け入れてくれるのですか?

私を、私だけを見つめてくれますか?

どうか、私を愛してください。
私が私であるうちに…。

どうか、私を愛してください
私が狂ってしまう前に。

どうか、俺だけを……。
俺が"俺"でいられるうちに……。
貴方の前から消えてなくなる前に……。
貴方を殺してしまう前に……。




あとがき
初、炎の蜃気楼SSです。
授業中にミラージュ読んでるときに、降ってきた「直江の叫び」です。19巻の80ページ辺りで降ってきました。直江が。
とりあえず、狂犬直江の切ない心情が書きたかったのです。

副題『恋する直江〜狂人篇〜』、てとこでしょうか。
短いし、何が言いたいかわからない。しかも、全然切なくない……。
そして、高耶さんが出てこないではないか。
目標は、直高小説を書くことです。目指せ、悲恋系。
2004.2.17  鷹夜那岐